2013/1/25 第128号 : マーケットアイ

付加価値、機能性を高める“縁の下の力持ち”機能性素材

 化粧品やトイレタリーなど私たちの生活に欠かせない製品から、一般用医薬品や医療用医薬品、また、医療の最先端である再生医療分野まで、製品化のカギを握っているのが原材料である素材です。このうち、有効成分や添加物などの機能性素材は、その技術進展が製品の高機能化、高付加価値化にも大きく貢献しています。

 第1図は、医療用医薬品と一般用医薬品、化粧品、トイレタリーの製品(応用製品)とその素材の市場規模です。

第1図 応用製品と素材の市場規模(2012年)

 応用製品である医療用医薬品と一般用医薬品は合わせて7兆円、化粧品は2兆円超、トイレタリーも1兆円に迫る巨大市場となっており、素材市場も応用製品に連動しています。

 素材市場のうち、機能性素材について詳しく見てみましょう。

 化粧品関連は、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化亜鉛、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルといったUVケア関連を中心に15品目で計255億円の市場を形成しています。応用製品である化粧品のトレンドに連動しており、UVケア関連のほか、アルブチン、フェニルエチルレゾルシノール、ハイドロキノンといった美白関連も好調です。

 医薬品関連は、12品目で計193億円の市場を形成しています。応用製品である医薬品は薬の剤形が広がっており、ポリビニルピロリドン、D−マンニトール、結晶セルロースなど口腔内崩壊錠向けの素材が堅調です。

 トイレタリー関連は、4品目で計32億円の市場を形成しています。応用製品の中で市場規模の大きなシャンプーは、スカルプケアシャンプーが売上を伸ばしており、ピロクトンオラミンなど頭皮ケア関連の素材が需要を集めています。

 それでは、機能性素材のうち有望品目の市場を見ていきましょう(第2図)。

第2図 機能性素材 有望品目の国内市場推移

 D−マンニトールは、ショ糖を高圧還元し、精製、結晶化によって製造される6価の糖アルコールです。天然に広く存在し、昆布やキノコ類、干し柿等にも多く含まれています。医薬品では錠剤用の賦形剤、輸液などの浸透圧調整剤として、化粧品では結合剤、香味剤、保湿・湿潤剤、保水剤として、食品ではチューインガム、アメ類の粘着防止剤として使用されています。 2012年の市場は32.5億円が見込まれます。医薬品・医薬部外品向けが90%以上を占めており、特に医薬品では近年開発競争が過熱している口腔内崩壊錠のキー素材として需要が拡大しています。
 口腔内崩壊錠は水がなくても服用しやすいことから、今後も医薬品メーカーの開発競争は続くとみられ、製品の増加に伴い市場は拡大推移すると予想されます。

 ピロクトンオラミンは、皮脂の酸化抑制や殺菌作用を有する成分です。光や熱に対して安定的な特性を有し、幅広いpH領域で殺菌作用を発揮します。シャンプーやリンスなど医薬部外品のヘアケア関連製品向けが大半を占めています。
 市場はスカルプケアシャンプーへの採用により拡大しており、2011年は前年比29%増の高成長を遂げました。2012年についても前年には及ばないものの二桁成長を維持する見込みです。
 今後しばらくは好調なスカルプケア製品向けが牽引し、市場は右肩上がりの状況が続くと予想されます。また、ピロクトンオラミン単体だけでなく、頭皮の肌荒れ防止効果を有するグリチルリチン酸二カリウムなど、ほかの頭皮ケア素材との組み合わせ提案で更なる需要開拓が進められていくと考えられます。

 メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、国内で最もベーシックな紫外線吸収剤として化粧品に使用されています。サンスクリーンをはじめ、近年は消費者の美白意識の高まりと共に乳液やUVケア化粧品、ファンデーションなどでも採用されています。
 成熟化している国内化粧品市場の中で、サンスクリーンは継続する美白ブームを背景に比較的堅調に推移しており、サンスクリーン向けを中心とするメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの需要も緩やかに拡大しています。今後もサンスクリーンをはじめ、UVケア製品の堅調な推移に伴い、市場は微増推移が予想されます。

 応用製品を使用する一般消費者にとって、素材自体は“表舞台”に出ない存在であるため、その名称や役割を知らないということがほとんどでしょう。しかし、素材は“縁の下の力持ち”として応用製品の機能性や付加価値を高める重要な要素となっており、素材市場の動向も注視したいところです。

参考資料:最先端ヘルスケア機能性素材市場・技術の現状と将来性 2013
調査編集:株式会社富士経済 大阪マーケティング本部 第一事業部