2013/7/25 第134号 : マーケットアイ

猛暑を乗り切る栄養源?!
     エナジードリンク、高級アイスクリームなど

 今年の梅雨明けは、東北・北陸地方を除いた地域では大幅に早まり(関東甲信越では例年より15日も早い!)、それと同時に7月10日頃から猛暑が到来しました。
 いろいろな所で言われていますが、暑さ対策の基本は睡眠と食事です。そこで今回は、暑い時に摂りたい食品、中でも近年急拡大している品目をみていきます。

 まず、気軽に飲めて、夏バテ解消にもってこいの飲料としてエナジードリンクを取り上げます。2009年に急成長し年々市場が拡大、2013年に入ってもその勢いは止まりません。6月には新商品の「スターバックス リフレッシャーズ」が発売され、注目されています。
 第1図はエナジードリンクの市場推移です。新商品発売のタイミングで、多くのテレビや新聞で市場予測が取り上げられたので、ご覧になった方もおられるかもしれません。

第1図 エナジードリンク市場推移

 エナジードリンクは、エネルギー補給を訴求し、カフェインやアルギニン等の成分を含有した炭酸飲料で、且つ1本当たりの小売価格が200円以上の商品を対象としています。

 エナジードリンク市場は、「レッドブル エナジードリンク」(レッドブル・ジャパン)がスポーツや遊びへのエネルギーチャージを訴求し、本格的に投入された2006年以降、クラブなどのナイト業態での展開により認知度が上昇するにつれて拡大し、2011年には100億円を突破しています。

 「レッドブル エナジードリンク」の好調を受けて流通側もCVSを中心に、エナジードリンクの定番の売り場を確保するようになりました。また、2012年はコカ・コーラシステムから「バーン」、アサヒ飲料から「モンスターエナジー」が投入され、商品ラインナップの充実により市場は活性化しました。若年層を中心とした消費者へのファッショナブルなイメージ戦略も功を奏し、2012年の市場は前年比2.2倍となっています。

 前述の「スターバックス リフレッシャーズ」で話題に拍車がかかったエナジードリンク市場。CVSをはじめとした店舗でも目にする機会が増えているように思えます。Web上ではエナジードリンク飲み比べサイトも充実しておりますので、自分の気に入りそうな商品を試してみると夏バテ対策によいかもしれません。

 続いては、今や季節に関係なく食されてはいますが、やはり夏に食べるのが一番おいしいアイスクリームです。中でも、注目される3品目の市場推移を見てみましょう(第2図)。*表の定義は富士経済によるものです。

第2図 ノベルティアイスクリーム、マルチパックアイスクリーム、高級アイスクリーム市場推移

第3図 アイスクリーム分類表

 ノベルティアイスクリームは、2012年は8月以降の猛暑・残暑が市場の追い風となりました。NB商品では定番ブランドの強化継続、「パルム」をはじめとする大人需要を狙った中価格帯の商品投入が数多く見られ、PB 商品でも、ファミリーマートの新ブランド「ジェラート」の発売など、CVSが中高価格帯ゾーンで商品を強化しています。OL、主婦、シニア層などの大人需要を狙った中高価格帯商品の投入・育成が取り組まれており、今後の注力ゾーンになると考えられます。

 ファミリーユースのマルチパックアイスクリームは、主力の量販店では、アイテム数が多く、売り場のコーナーを作りやすいこともあって、税別 300円商品の特売が恒常化しています。2012年は、前年 9月に生産ラインを増強した森永乳業「パルム」の伸びが維持され、その他の上位企業でも大人需要開拓強化の年となり、10月まで長引いた残暑も好影響を与えています。今後は、飲酒シーンの冷たいおつまみを提案した「ムーンウィッチ レーズンサンド」(江崎グリコ)など、新たな需要開拓を目的としてシニア層を含む大人向けの商品や、食シーンの広がりを図った商品の投入が活発化しそうです。

 高級アイスクリームは、2008年秋のリーマンショック以降、消費者の節約志向が強まり、高価格が敬遠されため市場縮小が続きました。しかし、2012年はハーゲンダッツジャパンが自宅でデザート用内食需要を取り込み、また明治の新ブランド「ザ・プレミアム グラン」も好調です。ハーゲンダッツジャパンが2011年に投入した「クレープグラッセ」が好調で、基幹の「ミニカップ」以外のバリエーションとして今後の伸びしろが期待されるように、高級アイスクリームカテゴリーの更なる市場拡大のためには新たなタイプの商品投入や、ブランドの育成が望まれます。

 さて、暑い日には、やはりビールという人も多いかと思います。美味しくビールを飲むために、ギリギリまでのどの渇きを我慢する人もいるそうですが、ビール市場(国産ビール、国産発泡酒、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料、輸入ビール類を対象)は縮小が続いています。
 一方、ビアテイスト飲料、ノンアルコールドリンク、その他低アルコール飲料は2012年に大幅な成長を果たしました。(第3図)。

第3図 ビアテイスト飲料、ノンアルコールドリンク、その他低アルコール飲料市場推移

 ビアテイスト飲料は、キリンビール「キリンフリー」サントリー酒類「オールフリー」アサヒビール「アサヒドライゼロ」などが代表的な商品です。近年急成長しているビアテイスト飲料ですが、2000年代前半の商品はアルコール分1%未満の規格でした。0%ではなかったため、運転前やアルコール耐性の低い消費者の需要を捉えきれず、2004年には市場が縮小したこともあります。2009年にキリンビールが世界初のアルコール分0.00%の「キリンフリー」を発売し、微量のアルコールへの不安を払拭したことで大ヒットしました。競合各社も同様の商品を相次いで投入し、同年の市場は前年比250%を越える急拡大を遂げました。加えて、道路交通法改正による罰則強化、飲酒運転への世間の眼の厳しさも、この市場の成長を後押ししています。ビアテイスト飲料は、ビール代替と思われがちですが、新たな飲用シーンを創造しており、ビール類の需要とカニバリはほとんどみられません。今後も新しい大人の清涼飲料として、需要拡大の可能性を秘めています。

 ノンアルコールドリンクは、アルコール度数 1%未満でカクテルドリンク、チューハイ、梅酒・梅酒系ドリンク、ワイン、焼酎の風味を持ちノンアルコールを訴求した商品を対象としています。アサヒビール「ダブルゼロ」チョーヤ梅酒「酔わないウメッシュ」サントリー酒類「のんある気分」などが代表格です。アルコール離れや飲酒運転の罰則強化を背景にビアテイスト飲料が実績を伸ばしたことが注目され、各社からカクテルドリンクなどのノンアルコールドリンクが発売されるようになりました。2012年は、大手酒類メーカーのチューハイテイストのラインナップが出揃い、競争の激化と共に市場は盛り上がり、前年比2倍弱に成長しました。ビアテイスト飲料と同様に新たな飲用シーンや飲用層を掘り起こし、また炭酸飲料などの清涼飲料とも差別化されているため、今後も市場は拡大すると考えられます。

 その他低アルコール飲料は、チューハイ、カクテルドリンク、「水割り洋酒・ハイボール」のいずれにも属さない低アルコール飲料(例:「ジーマ」「ウメッシュ」など)を対象とします。グラフの通り、市場は2011年までは冴えない動きをみせていましたが、2012年にモルソン・クアーズ・ジャパン「ジーマ」キリンビール「スミノフアイス」に加えて、キリンビールの「ワインスプリッツァ」サッポロビールの「バカルディ」といった新ブランドが投入され、市場は盛り上がり、前年比40% 弱の拡大となりました。低アルコール飲料はビールに代わり“お酒”のエントリー商品としての地位を確立しつつあります。ユーザー層の広がりとともに多様性も広がりをみせており、今後も堅調な成長が期待されます。

 今回は“暑い夏”に好まれそうな食品の市場をみてきました。ですが、冷たい食べ物、飲み物を摂りすぎるのも体にはあまりよくありません。冷たいものはほどほどに、バランスよい食事を心がけて、8月・9月を乗り越えていきましょう。

参考資料:清涼飲料市場の最新トレンドと将来展望 2012
参考資料:2013年 食品マーケティング便覧 No.2
参考資料:2013年 食品マーケティング便覧 No.3
調査編集:株式会社富士経済 東京マーケティング本部 第一統括部 第一部